かつて私が石を彫り始めた頃、森や畑を歩きまわり自然界の中の螺旋の形を見つけては魅せられていた。

また、しばしば石には石が自らが持っている力を発することがあると感じる。
私は石彫作業に没頭する中で、そのような石からの影響を受け続けてきたと思う。

2006年頃から、音という要素を彫刻に加味すること、音を探したり、音の鳴るしかけを作品に組み込み始めた。
求める音は音階にあらず、綺麗でもなく、「いつまでも石に触って鳴らしていたい音」であった。

造形性に距離を置きだしながら、造形を否定するのでなく、その過程の中に何かをみつけようとした。

螺旋とは形や動きの様相だけでなく、何かのエネルギーが伝わったり変換されたりしていく様を示すのではないか。

石に刻んだノミの痕跡、竹の断片、水、人の掌。
それらが標高50メートルのアートステージ上に作られた水深134ミリの石の湖(うみ)で接触し音を発する。
その残響は水面にうつる森の間をただよい、あるいは森に重なった水面をつたい広がり始める。